(第4号)こうして、キャンブルへのコントロールを失っていく・・・しかし、希望もある
●なんでこうなるの?
(あるギャンブル依存症な男:Mクンの日常 その四)
前日、しめて2万6千円の負けを作っているのにも関わらず、おれは前回思いついた
『勝ち逃げ戦略』を実行しようと、仕事が終わってからすぐに雀荘に赴く。
(作者注:普通、手痛く負けた場合には、ギャンブルをやりたくなくなるものだろう、
と思うかも知れない。でもそうではない。むしろ、負けたときに、少しでもとりかえそう
と思いギャンブルは加速していくものなのだ)
朝銀行から下ろした1万5000円を手に、20時頃雀荘に入ると、いつものように
店員の挨拶。
『M名人、オハヨウゴザイマス!いらっしゃいませ!本日も一日、よろしくお願いいた
します!』
手痛く負けたあとだけに、『名人』の響きも空しく感じる。
しかし、そんなことは言っていられない。気をとりなおさなければ。
なにせ、5000円店にアウト(借り)があるため、一万円の元手でスタートしなくて
はならない。
この店のルールだと、相手のつき方次第では、1万円くらいすぐにふっとんでいく。
赤が3枚入ったご祝儀麻雀なのだ。
(作者注:赤入り麻雀を知らない人のために・・・4枚ずつある5萬、5ピン、5ソー
の1枚だけが赤色になっていて、その牌を使ってアガルと、ロンアガリだと1枚につき
相手から500円チップ1枚、ツモアガリだと3人から500円チップ1枚ずつ貰える。
さらにリーチでアガッた場合には、一発、裏ドラも赤牌と同じように扱う。
分かんない人は・・・よりギャンブル性が高いようにルール設定された店だ、とご理解
ください)
幸い、今日の面子は暴牌連発の変な面子ではない。落ち着いてやれば、絶対浮きには
回れるはずだ。
東一局スタート。俺は親。
10順目、下家からリーチが入る。俺はテンパイは遠く、安全牌を残しているので振り
込むことはない。
しかし、一発ツモ。
『えーと、リーチ一発ツモ赤赤・・・あ、裏3で、バイマンの6枚オール!』
相手は、一回のアガリで9000円の収入。
おれは3000円の現金支出に、点棒は-8000点。
『(やばい。スタートから完全な不ヅキ状態だ。元手が少ないのに、なんとかしなきゃ。)』
そういう思いも空しく、時局5順目、親の赤2のダマテン親マンに突っ込む。
自分の手が悪ければ、振り込みをしないよう打ち回すこともできたのだが。
そのうえダマテンでこれだけ相手の手が早くては、どうしようもない。
-1000円。-12000点。(残り5400円、5000点)
時局。さらに2500点オール(赤1枚)をツモられる。今回は早めに相手のテンパイを
察知して、打ち回していたのだが。
-500円。-2500点。(残り4900円、2500点)
しようがない。とりあえずこの親を早く流すしかない。
早アガリのために鳴いて4順目にテンパイしたが、なかなかアガリ牌が出てこない。
10順目。南家から俺の切った牌にロンがかかる。
3900点。俺のトビ。
赤が一枚入っていたので、トビのご祝儀も含め-1000円。
トータル-11200円。お店に1200円のアウト。
・・・・・・・これはおれの実力で負けたわけじゃない。くやしい。
まだATMでお金おろせるな。まだ時間はあるし、お金おろしてもうちょっとやろう。
このままじゃくやしくて眠れない!
店員に代走(かわりに打ってもらうこと)を頼み、急いでATMで2万円下ろし、同じ
席で続行。
不ヅキな席だけに、その後も苦戦したものの、5戦目くらいから少しづつ調子をとりもど
していた。
現在8戦目。収支トータルで-20000円。
ふと時計を見ると、夜の1時をまわっていた。
『やばい、明日仕事で7時には家から出ないといけないのに・・・でも、調子でてきてるん
だから、もう1回だけ・・・』
時間がないあせりからか、とたんに調子が出なくなる。疲労もあり、判断ミスが出てくる。
結局、3時過ぎまで打った。財布の中身は、15000円ほど。今日で35000円おろし
ているのに。
おれ、何やっているんだろ?勝ち逃げして、昨日の26000円のマイナスを少しでもとり
戻すはずだったのに・・・・
なんでこうなるの?
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●こうして、キャンブルへのコントロールを失っていく・・・しかし、希望もある
ギャンブルにはまっている時は、自分を客観的に見ることができません。
過去の大勝ちのイメージが頭のなかにあるので、負けた時にどうしても取り戻す行動
に走ってしまうのです。
このときのMクンも、勝ち逃げするという以前にはじめから負けてますし(笑)。
もしあなたが、『ギャンブルで負けを取り戻そう』という行動をとったことがあるなら
、もうあなたの中にはギャンブル依存症のウイルスがひそんでいます。
(これは、現在ギャンブル依存症になっていない人にも言えると思います。)
『ギャンブルの負けを取り戻すためにギャンブルをやる』というウイルスです。
このウイルスは『賭ける』という行為を繰り替えすことで、増殖し、本人はますます
ギャンブルをコントロールする能力を失っていきます。
前号で書いた、『嘘をつく』ことなどは、このウイルスによる副作用のようなもので
す。
一度、『ギャンブルをしない生き方を学ぶ』ことによって、このウイルスの増殖を断
たねば、決してこのウイルスは減ることはないのです。
wikipediaに、ギャンブル依存症に関して、こんなことが書いてあります。
ギャンブル依存症者
ギャンブルの強迫観念に抵抗できない人びと。自己の生活基盤、価値観、仕事や学業、
家族や友人などの人間関係を犠牲にしてもギャンブルを続けてしまう。ギャンブル依存症
は進行性で完治することはない精神的な病気。しかし適切な専門職の介入と自助グループ
や、各種心理療法によって回復することは出来る。ここで言う回復とは、再びギャンブル
に手を出してしまったら元の依存状態になってしまうので、一生ギャンブルに手を出さな
い、新しい生き方を学ぶ必要があると言うことである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB
『完治することはない』というのは、つらいですね。
しかし、希望もあります。『一生ギャンブルに手を出さない、新しい生き方を学ぶ必要
がある』とありますよね?
人は新しい生き方を学ぶことはできるんです。
ただし、そのためには、ギャンブルをしていた自分が、ギャンブルをコントロールでき
ない状態であったことを心の底から認める必要があります。
まずは、認めることです。そこがスタートであり、そこに将来の『ギャンブルから自由
になったあなた』が生まれる種があります。
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