(第3号)自分への嘘、周囲への嘘
第2号からの続きです
●その晩・・・・・
(あるギャンブル依存症な男:Mクンの日常 その三)
マンションに戻り、会社への提出書類を急いで送った俺は、軽く食事をとったあと
、そのまま泥のように眠りにつく。
目が覚めると、夜の11時。ケータイの音で目を覚ます。
彼女からだった。
元同じ会社の同僚で、けっこうものをずけずけと言うタイプの性格。でも、どこか
安心感をあたえてくれるタイプの娘だ。大切にしたいと思っている。
『Mクン、なんでケータイに電話しても出ないの?家にかけても出ないし。』
『ごめん、実家にいたんだけど、ケータイ無くしちゃってさ。さっきマンションに
戻って来て、ここで探したらようやく見つかったとこ。』
『もー、ちゃんとしてよね!相談したいことがあったんだから。』
おれはもともと性格が異常に雑で、忘れ物や物を無くすことが異常に多いので、彼女
は疑いもしない。最近、こういう嘘をさらっとつけるようになってしまった。
会社を移ってから、彼女は新しい環境に完全に慣れていないせいか、多少情緒不安
定である。会社を移る際にも、高い旅費をはたいて、引っ越しやら、面接の練習やら、
色々なことにつきあった。
彼女のために、何度も飛行機で往復したので、かなり貯金を使ってしまっている。
今現在も、ほぼ毎日電話での会話で安心させるのに一苦労である。
2時間ほど話したあと、ようやく落ち着いて電話を切った。
それにしても、なんでこんなにアッサリ嘘がつけるような人間になってしまったん
だろう。
彼女を大切にしたいんだろう?こんな、嘘ついたり、麻雀で負けてお金使ってたり
する場合じゃないんだよ。麻雀はやめなきゃ・・・
ちょっとした罪悪感で、胸がもやもやする。
だが、すぐに別の思考が頭をよぎる。
『ちょっと収支がプラスになった段階で止めれば、問題ないんだよな。実際、いつも
絶対一度はプラスにもって行くことはできているんだし。
勝ち逃げできないのが、おれの悪いとこだな。次回から、少しでも浮いたら、即やめ
るようにしよう。』
だが、こんなことはいままでも何度も考えていたことだ。でも、麻雀で勝ったら勝っ
たで、その快感のためさらに続けてしまうパターンから、脱却できずにいたのに。
そんなことはわかっているはず。でも見ようとしない。そうして、自分にも嘘をつい
ていく・・・・
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